針葉樹丸太はどう使われる?

針葉樹丸太はどう使われる? 立木買取
こども
こども

このマツ原木は何に使われるんですか?

林業者
林業者

え、えーと…

林業関係者でも自ら生産出荷した丸太が、「最終的にどのように利用されているか?」を正しく理解されていない方もいます。

計画的に植林されて伐採生産された針葉樹素材丸太は、どのように流通し利用されているのでしょうか?

植林してから約40年で主伐できる針葉樹は再生可能資源です。

再生産が早い針葉樹の利用方法をご紹介します。

国産針葉樹のほとんどが製材用に

国産の針葉樹供給量は素材丸太ベースで2,000万m³あまりです。(2021年)

この使用用途の内訳は下記のとおりです。

  • 製材用に63%
  • 合板用に23%
  • チップ用に14%

ちなみに針葉樹の6割がスギです。

製材として

製材として使われるのは建築の柱や板材です。

木材業界で製材品と呼ばれるのは、板や角材などの材木のことです。

住宅などの建物建築に使用される建材が主です。

ホームセンターで売られてるツーバイフォー材やヌキやタルキ、野地板、外壁材などが含まれます。

建築材料や土木材料として利用されることが大半です。

パレットなどの物流梱包資材としても使われます。

建築土木用

土木の仮設資材も数量が多く、垂木、桟木、杭など用途がたくさんです。
型枠に使われる仮設木材資材

住宅建材に使われるのは、柱や梁などの角材、野地板や外壁、内装などの板材です。

住宅設計工法によりサイズが違います。

断面や長さが様々です。

家具や内装で使われる集成材原版となるラミナ材(Laminar)としても製材されています。

土木の仮設資材でも多くの木材が使われます。

垂木、桟木、杭など、建築土木現場で針葉樹の用途はたくさんあります。

梱包流通用

工場や倉庫のパレット材、魚函、梱包資材に使われます。
フォークリフトで必須のパレット

工場や倉庫のパレット材、魚函、梱包資材として使用されてます。

近年はプラスチック製のパレットにシェアを奪われてきました。

しかし、まだまだ流通現場では木材パレットが健在です。

ダンネージという荷物の下に敷く敷材にも加工されます。

物流現場ではわき役ですが木材がたくさん使われてます。

カラマツやラジアータパイン材など、丈夫で腐りにくい木材が好まれます。

合板用

建築の耐力壁や型枠に使用される合板原料としても使われてます。

建築の耐力壁や型枠に使用される合板の原料にも針葉樹は使われてます。

合板は鉛筆削りのように薄くスライスする製法が主流です。

建築資材ですが帯鋸でカットする板材や角材と加工方法が大きく違います。

単板や特殊合板、LVLや集成材もまとめて合板と呼ばれます。

国産針葉樹が使われるのは針葉樹合板がほとんどです。

木材チップとして

細かく破砕された木材チップ
木材チップ

製紙や燃料の原料として主にチップ状に細かく破砕して使用されます。

木材チップとは、破砕して小さいチップ状にして使われる木材をいいます。

細く曲がっていたりして板や角材にならない丸太も、余すところなく木材チップとして消費されます。

製紙原料用

新聞用紙や印刷用紙、ダンボール用紙など、製紙原料として使用されます。

現在、製紙工場の原料は回収された古紙の再生紙が主流です。

しかし、一定量の木材チップも必要とされてます。

バイオマス燃料用・敷料用

家畜の寝床になる敷料(しきりょう)として木材おが粉が使われてます。
おが粉

脱炭素として注目の発電用の木質バイオマス工場燃料にも木材が使用されます。

古くから家畜の寝床になる敷料(しきりょう)として、木材おが粉も使われてます。

燃料としてはペレット材料や薪としても使われてます。

丸太の使い方

製材用と原料材用の完成比率が変わります。
製材すると背板がでる

木材製材工場では赤い部分を製材用に使います。

その他は副材としてチップやおが粉に加工されます。

製材注文や原料丸太の状況によって、製材用とチップ用の完成比率が変わります。

曲がりが激しかったりして丸太の形状によっても、生産歩留まりが大きく変化します。

丸太径が細かったり曲がりくねった木は、歩留まりが下がるので価値が低下します。

生産性を上げるには歩留まり

丸太は工業製品ではないので、1本ずつ形状や素性が異なります。

製材工場では顧客の注文に合わせるのと共に、在庫の丸太の状況も見ながら加工します。

複雑なオペレーションとなります。

製材の単価は高いので、その歩留まり比率を上げるようにしたいです。

できるだけ無駄なく加工したいですね。

残材が原料のチップ

チップ原料のほとんどが残材か…

一年間に国内生産された木材チップは約600万tです。

そのうちの50%以上の原料は工場副材と解体材廃材です。

木材チップとして出荷された素材丸太は40%ほどです。

工場で製材すると背板など他に使えない木材部分がたくさんでます。

その行先のほとんどがチップになるのです。

多角的に使われる針葉樹の丸太

ネット通販でつながりが深い物流拠点のパレットやダンボールにも使われてます。

このように針葉樹丸太の使用用途はさまざまです。

人工林で生産された木材資源が多目的に使われています。

生長が早い針葉樹は持続可能な再生資源として注目を集めてます。

国産材は近年、生産量が増えてきているので、その役割について考えていただきたいです。

針葉樹が薪としても

林業人
林業人

よく乾燥させて長年、マツの薪を使っているよ。

説明不要ですが薪としての利用も、近年は需要が高まりつつあります。

広葉樹のナラやカシなど硬い木が良質の薪として取引されます。

針葉樹もしっかり乾燥させれば、火持ちが良くて良質な薪となるようです。

カラマツやアカエゾマツなどの針葉樹もしっかり乾燥させれば火持ちが良い薪となるようです。

ホームセンターなどで見ていると針葉樹の使用用途は建築材料だけかと思われがちです。

針葉樹はネット通販でつながりが深い物流のパレットやダンボールにも使われてます。

育林中に発生する細い間伐材も、製材工場で無駄なく使われます。

脱炭素の潮流の中、再生できる木材資源の利用に注目が高まっています。

それとともに限られている木材資源を、無駄なく効率よく使う方法や技術を高めていきたいですね。

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