計画的に植林されて立木から伐採生産された針葉樹の丸太は、どのように利用され流通しているのでしょうか?
林業経営者も生産出荷した丸太が最終的にどう利用されているか、正しく理解されていない方もいます。
植林してから40年で主伐できる再生産が早い針葉樹の利用方法をご紹介します。
一般材として
木材業界で一般材と呼ばれるのは、板や角材などのいわゆる材木とのことです。
ホームセンターでも売られてるツーバイフォー材や野地板、外壁材などです。
建築土木材料として利用されることが大半ですが、パレットなどの物流梱包資材としても使われます。
建築土木用

住宅に使われるのは柱や梁などの角材、野地板や外壁などの板材です。
住宅設計の工法によりサイズが違いますので、断面が105mmや38mmなど様々なサイズがあります。
家具や内装でも使われる集成材の原版となるラミナ材(Laminar)としても製材されています。
土木の仮設資材でも使われる数量が多く、垂木、桟木、杭など用途がたくさんです。

梱包流通用

工場や倉庫のパレット材、魚函、梱包資材として使用されてます。
近年はプラスチック製のパレットにシェアを奪われてきましたが、まだまだ流通現場で木材パレットは顕在です。
ダンネージという荷物の下に敷く敷材にも加工され、物流現場では木材がたくさんあります。
カラマツやラジアータパイン材など丈夫で腐りにくい木材が使われます。
合板用

建築の耐力壁や型枠に使用される合板の原料にも使われてます。
鉛筆削りのように薄くスライスする製法がほとんどで、建築資材ではありますが板材や角材と加工方法が大きく違います。
原料材

原料材とは用途が材木以外のパルプや燃料の原料として、主にチップ状に細かく破砕して使用される木材です。
板や角材にならない丸太も余すところなく原料材として消費されます。
製紙原料用
新聞用紙や印刷用紙、ダンボール用紙など、製紙原料として使用されます。
現在、製紙工場の原料は回収された古紙の再生紙が主流ですが、一定量の木材も必要となります。
バイオマス燃料用・敷料用

脱炭素として注目の発電用の木質バイオマス工場の燃料にも木材が使用されます。
古くから家畜の寝床になる敷料(しきりょう)として、木材おが粉も使われてます。
燃料としてはペレット材料や薪としても使われてます。
丸太製材の歩留まり

木材製材工場では赤い部分が製材用で、その他は副材として原料材用のチップやおが粉に加工されます。
製材の注文や原料の丸太の状況によって、製材用と原料材用の完成比率が変わります。
曲がりが激しかったりして丸太の形状によっても歩留まりが大きく変化します。
丸太径が細かったり曲がりくねった木が多いと歩留まりが下がり価値が低下します。
生産性を上げるには高い製材技術
丸太は工業製品ではないので1本ずつ形状や素性が異なります。
製材工場では顧客の注文に合わせるのと共に、在庫の丸太の状況も見ながら加工するので複雑なオペレーションとなります。
原料材に比べて製材の単価が高いので、できるだけ無駄なく加工したいですね。
多角的に使われる針葉樹の丸太

このように針葉樹丸太の使用用途はさまざまです。
ホームセンターなどで見ていると針葉樹の使用用途は建築材料だけかと思われがちですが、ネット通販でつながりが深い物流拠点のパレットやダンボールにも使われてます。
育林中に発生する細い間伐材も、製材工場で無駄なく使われます。
脱炭素の潮流の中、再生できる木材資源の利用が高まっていくのは必然ですが、無駄なく効率よく使う方法や技術を高めていきたいですね。