人気観光地の北海道で、ドライブ中に皆さんが見る山林は、緑が深くて空気がきれいで自然の象徴として映るでしょう。
でも、私たち木材業者は緑を眺めていても高価な山林だなとか、あの立木は切り出すのに苦労しそうだからあまり価値がない山林だな、とか思ってしまいます…。
素直に自然を楽しめない悲しい一面ですが…
同じように見える山林の価値の差は、いったい何でしょうか?
自然ではない経済林、生産林

立木を生産している山林を経済林(生産林)と呼びます。
人工林とも呼ばれますが、北海道では主にカラマツやトドマツ、アカエゾマツなどが植林されて育てられます。
林業は、植林して育成し価値ある立木に育ててから伐採しますので、最終的に原木丸太として販売するのが目的です。
営利目的の経済林もありますが、国公立公園のように自然保護を目的とし、原則的に伐採を禁止している天然林(自然林)もあります。
人工と天然がわかりにくい、山林

わかりやすいように説明すると、農地と草原を想像してください。
農地は作物収穫を目的として人力で農耕して作付け収穫します。
パッと見ると、農地作物の緑なのか?人の手が入っていない草原の緑なのか?
これは皆さんわかりますよね?
それと一緒なのが天然林と人工林で、山林は見た目ではわかりにくいのです。
経済林の成績が良い、悪いとは?

林業経営者は、「どの山林が稼げて、どの山林がイマイチ」なのかを把握しています。
稼げる山林は植林育林に投資を検討できます。
でも、稼げない山林はそれができません。
経済林の成績が良い悪いというのは「植林から伐採販売」までで稼げたかどうかです。
地域間の格差がある

間伐(木の間引き)の本数や回数、タイミングは立木種類や状態によって違ってきます。
それによって、その山林の総売上や総出荷量が変わってきます。
また、立地(土地形状)や気候、あるいは土質や方角が重要です。
切り立った地形の立木を原木丸太にして搬出するのにはとても苦労しますし、豪雪地帯は除雪が必要で林道も痛みが激しいです。
それらの費用は、搬出コストを高くしますので、収益を圧迫します。
また、土質のせいなのか土地の崩落が影響しているのかわかりませんが、地域によっては丸太の欠点が発生したりします。
トドマツによくある、アテやヌレと言われる丸太の欠点があると価格が安くなります。
まだ、未解明なことも多く成長して太くなり主伐となった時に、価値がつけられない丸太となったり害虫が頻繁に発生する地域もあったりします。
価値ある経済林は生産性が高い

丸太生産が盛んな北海道では、広大な面積を活かして生産性を高めて搬出コストをおさえ、十分に山林経営ができる地域もあります。
木材が大量に輸出入される現代では、針葉樹の木材価格は、昔のように大きく変動しません。
販売価格が急上昇することはあまり考えられないので、搬出するコストをいかに抑えるかがポイントとなります。
丸太販売価格で植林育林、搬出コストをカバーできる山林は価値が高い経済林と言えます。
まとめ、立木の生産効率が良い山林は高価値

私たちのような木材業者は、立木を切り出し原木丸太にする作業の生産性を高め、コストを抑える努力が必要です。
事故がない安全が第一になりますが、お客様の利益のために非効率なことをやめ、立木価値を最大限に引き出すことが求められています。
しかし、それだけでは限界があり、林道の新設や補修など原木生産に長期的視野で投資しないと、結局は山林の生産性を下げてしまいます。
山林経営において道路が最重要であり、林道がないと現場視察もできず、何をするにも林道がないとはじまりません。
成長した立木の価値が高くても、搬出するときのコストが高いと、利益が少なくなってしまいます。
道路新設や維持に多額のコストがかかりますので、長期にわたる計画が必要となります。