年輪の幅がせまいと硬い木になり、角材や板材に製材加工にしても、腐りにくくて 「寸法くるい」 が少ない材木になります。
生長が早い立木は年輪の幅が広いので、製材すると乾燥収縮で寸法差異が大きくなります。
立木を評価するには、製材して材木になったときの品質を見極められて、その価値が左右されます。
立木の状態でも、丸太にした時の品質を見極める力が必要で、北海道全域の針葉樹のことで古くから言い伝えられている立木の方位について考えてみたいと思います。
ただし、あくまでも現場レベルで言い伝えれていることで、地域差があり、例外も多く存在することをご承知おきください。
北向きの斜面にある立木は価値が高い

立木が立ってる山林の方位については、一般的に北向きの方が年輪幅が狭く細くなっていて、硬い木なので品質が高いとされています。
南向きは日当たりが良くて成長が早いですが、その分、年輪幅が大きいので材木にした場合、乾燥による「寸法くるい」が大きいものが多いと言われてます。
山林なので、地形が複雑に変化していて南向きの斜面でも日当たりが悪い場所もあり、そのような場所は例外になります。
立木の太さが同じ条件ですと、南向きの斜面にある立木よりも北向きの斜面に生息している立木の方が、丸太にした時に価値が高くなる可能性が高いでしょう。
北斜面に良材があるが凍裂に注意
確かに北向きの斜面は良い立木がありますが、日当たりが悪いので寒冷地の北海道では凍裂が入ることがあります。
凍裂とは、冬の厳寒期に冬眠状態に入っている樹木内のわずかな水分が凍り、樹幹内が縦に割れてしまうことで、材質の価値を下げます。
北向きの立木に良材がありますが、北海道などの寒冷地では尾根などに多い凍裂に注意しなければなりません。
トドマツ

南向き斜面のトドマツは、成長が早いが腐っているものも多く、北向き斜面の方が良材が取れるとされています。
トドマツは、斜面が急傾斜だったり、地盤が岩盤地帯では、アテやヌレと言う樹幹部の欠点が見られ、あまり良材が育たないとされています。
また、前記のとおり、トドマツは北斜面で凍裂が入りやすく、それは極寒地の尾根沿いに多く見られます。
アカエゾマツ

アカエゾマツも北向きの斜面の方が良材が育つとされています。
トドマツと同じく岩盤質地帯、急傾斜地では、樹芯の欠点や心腐れが多いとされていて、湿地帯に生息しているアカエゾマツも立木の成長が悪くて、あまり良質な材木にならないようです。
カラマツ

カラマツはもともと樹幹部分の腐れや欠点が少なく、南向きも北向きの斜面もそれほど大きく材質に影響がありません。
北斜面にあるカラマツ立木は、やはり生育があまり良くないようです。
針葉樹では樹芯の欠点が比較的少ないカラマツは、日当たりが重要でしっかり日が入れば北向きの斜面の立木もよく育ち、急斜面でも良材が収穫できるとされています。
カラマツは植林してから20年までは強風や雪害を受けやすいですが、この時期を過ぎれば成長が安定しているようです。
広葉樹も北向きに生育している立木が良い

北海道の広葉樹も同じく、北向きの斜面に生育する立木は良質で、材質も安定した丸太が生産できます。
南向きの斜面にある広葉樹は、成長が良いので太くて見た目は素晴らしいのですが、丸太にしてみると樹芯に腐朽があったり、欠点が多いとされてます。
北海道のカバ類は、特に北向きが良いとされています。
ただ一部には例外もあり、ブナやシナは南向きの立木の方が材質が良いとされています。
南北の方位だけでなく

針葉樹も広葉樹も一般的には北向きの斜面の立木が、丸太にすると良質と言われています。
日当たりが良い南向きの斜面では、成長が早くて太くなる立木も多く、生息する立木本数も多いとされています。
南向きの斜面でも、近くに高山があったり凹んだ土地などでは日の当たり方も変わり、生育条件が変わってきますので、すべての地域の傾向をひとくくりに述べるのは難しいでしょう。
急傾斜地や潮風に注意

東西の斜面は様々な情報、意見があり、品質の傾向に関して何とも言えませんが、若干東向きの方が良くて西向きの方が条件が悪いのかもしれません。
やはり、日の当たりが良くなくて成長が遅い条件の方が、良い材木となるのでしょう。
トドマツの場合、急傾斜地にある立木は樹芯に欠点があり材質が良くなく、その理由として急傾斜では少しずつ地盤がズレているから、立木の樹芯にダメージがあるとも言われてます。
また、立木全般に言えますが、沿岸部の強風が吹き付ける地域の立木は、欠点や腐れが発生しやすいようです。
強風地は北向きの立木のように成長が遅い傾向がありますが、潮風を直接受けることは木材に悪条件をもたらし、どんな樹種も材質が良くないようです。
海から数十kmまでの山林立木には注意が必要ですね。