不動産個人売買のトラブル

不動産の個人売買でおきるトラブルにご注意 不動産

ヤバい物件だなぁ…

  • 建物が傾いている。
  • 雨漏りやシロアリが発生している。
  • トイレや水道が使えない。
  • 地中に不法投棄物が埋まっている。

宅建業者ならすぐに気づきます。

正直に申しまして引き受けたくない物件はよくあります…。

不動産取引には個人売買もよくあります。

直接取引は何も問題ありません。

ただ、不動産売買は高額です。

当然、長期ローンを組む方もいます。

大金が動く不動産売買ではトラブルが付き物です。

高額ゆえに取り返しがつかない事もあります。

不動産個人売買でのリスク

個人間で不動産取引をする人も多いが…。

不動産業者を介さない個人間取引は、仲介料がかからないのが利点です。

ただし、取引にはトラブルも発生します。

不動産取引は高額なので、問題発生すると簡単には終わりません。

どんなトラブルがあるのでしょうか?

手付金や代金の不払い

高額取引では決済が円滑にいくとは限らない。

約束の日に支払いができない…

遅れそう…

個人間取引では約束ごとが曖昧になりがちです。

約束をテキトーに決めてしまうと、後々トラブルになりがちです。

特に友人知人の場合は注意です。

不動産取引では多額のお金が動きます。

手付金が2割払いでも数百万円になったりします。

民法や宅地建物取引業法では、手付金、解約放棄などで細かい規制があります。

それらを知らないで、取引すると決済時にトラブルが起きがちです。

  • ローンを申し込む場合は、もし審査で落ちた場合にどうするか?
  • 約束の日までに物件を引き渡せなかったら…?
  • 現地と図面が大きく異なっていたら?
  • 土地建物はローンの担保となり得るのか?

契約する前に確認しなければならない事がたくさんあります。

経験と専門的な知識が必要になってきます。

隠れた瑕疵(かし)によるトラブル

建物の欠陥は建築士が見てもわからないことがあったりします。

建築士の私も多くの物件を見てきました。

未だに見抜けなかったり驚くこともありまだまだ勉強です…。

壁の中や屋根裏、外壁の内側、床下など目視できない場所は、プロでも見抜くことが難しいです。

結露や腐朽があるとカビや白蟻の発生が懸念されます。

仲介業者はそうした隠れた瑕疵責任のリスクを見極めなければなりません。

なので、仲介物件の確認は慎重にするのです。

個人売買の場合は、それらが直接、売主の責任となります。

買主からすると物件のトラブルは全面的に売主にあると考えます。

不動産売買には重要事項説明で物件内容が細かく確認されます。

専門的な知識がある方を除き、個人売買では建物の瑕疵を細かく見極めることが難しいです。

隠れた瑕疵が判明した場合、

「誰がどのように責任を負うのか?」

契約であらかじめ取り決めすることが必要です。

それが無いと売主買主の間でトラブルになります。

  • 塀が越境していた…
  • 水道支管からわずかずつ水漏れしていた…
  • 再建築できないとは知らなかった…
  • 必要な耐力壁が除かれていた…

中古住宅では、住んでいる人でもわからない瑕疵があります。

前の前の住人が違法改築しているのかもしれません。

費用がかかりますが、住宅診断の専門家にみてもらうのも1つの方法です。

住宅の細かいところまで点検してもらい、その結果を契約書に反映させます。

少しはトラブルを未然に防ぐことができそうです。

境界が不明

土地境界が不明な物件は、不動産仲介業者は手を出しません。

後々トラブルになることが確実です。

不動産売買の際には土地境界を明確にすることが必須です。

境界が変化すれば敷地面積が変わり、固定資産税評価額も変わります。

土地の面積が変わるという事は、建ぺい率などに影響し建築基準法違反の恐れもあります。

塀や擁壁が越境してる可能性もあります。

土地面積が減るような測量を、隣人が簡単に受け入れてくれるとは思えません。

境界が不明なまま、長年放置されているところも多くあります。

町内一帯の境界が未確定であいまいな地域もあります。

不動産仲介業者は境界が不明瞭なままの土地の売買仲介はしません。

売買には測量して境界を確定させることが絶対条件です。

土地境界をめぐって裁判になることはよくあります。

登記や税金の処理

相続登記の義務化は、2024年4月1日からです。

不動産取引が成立したら、決済と同時に登記です。

登記には必要な書類や手続きに知識が必要です。

不動産取得税などの納税への手続きも必要になります。

2024年4月からは権利部登記が義務化されました。

個人売買でも登記を必ずしなければなりません。

取得した土地の広さによっては開発行為になったり、国土利用計画法に基づく届出も必要になってきます。

違法建築や用途制限、再建築不可

古い建物は、現在の建築基準法に適してないこともよくあります。

新築当時は適合していたのが「法改正で不適合になりそのまま…」という物件です。

現在の法律に適合していない建物を既存不適格建築物といいます。

建ぺい率、容積率、用途地域、高さ制限などの変更で既存不適格になることもあります。

遡及適用はされないので、そのまま使用することは法的に問題はありません。

ただし、増築や改築する時は、現状の法律に適したものにしなければなりません。

住宅をDIYすることが流行です。

十分な知識なくDIYでリフォームした中古住宅は法に不適合な物件も多いです。

耐力壁や柱を取り除くのは住宅の強度を大きく損ないます。

採光や高さ、間取りなど法令で制限があることを知らない人も多いです。

違法建築はローンを組めません。

当然ですが、違法建築物の取引を不動産仲介業者はしません。

キャンセルトラブルから

不動産売買でのキャンセルは意外に多く発生します。

不動産売買が成立すれば、一般的に売主に対して手付金を支払います。

その後、買主のキャンセルであれば手付金没収です。

売主からのキャンセルならば、手付金の倍額を支払うことになります。

しかし、これらは売買契約書に適切な「手付解除」の約束があった場合です。

その取り決めが無い場合は契約不履行です。

手付金の倍返しで契約解除はできません。

買主の立場に立つと物件が引き渡しされないとなれば、引越し準備のためにかけた費用や仮住まいの費用などの損害賠償を請求したくもなります。

転職したり、クルマや家具を買い替え発注していることもあります。

個人売買では「口約束」になることもあります。

契約前の意思表示でも責任が生じます。

売主と買主双方の合意で契約成立とみなされ法的な効果があります。

当事者双方が約束内容にそって履行する責任を負います。

売るのをやめた…

それだけで裁判になり高額な損害賠償を請求される恐れもあります。

個人間取引ではキャンセルの取り扱いが重視されていないことが多いです。

売買が成立した時はお互いに気持ちが盛り上がります。

しかし、時間の経過とともに冷静になって気持ちが揺れ動くものです。

それに伴って不動産個人売買でのキャンセルも結構な件数が発生します。

仲介業者がいないとキャンセルの取り決めがなく、揉め事になりやすいのです。

狙われる個人間取引

登記簿謄本を偽造して不動産所有者になりすますいわゆる”地面師”は広く知られてます。

東京都内で巨額の詐欺事件が発生したのも記憶に新しいです。

なりすましを見抜くのはとても困難です。

プロでも本人確認は見抜けない事があります。

何度も不動産取引してるベテランでも騙されます。

不動産取引に不慣れな人ならアッサリやられてしまいます…。

不慣れな個人を専門に詐欺行為を繰り返す詐欺師もいます。

古くから不動産ブローカーも存在します。

さまざまなブローカーがいますが、中には悪質な違法行為を繰り返す者もいます。

無免許営業だったり、紹介料や高額仲介手数料請求は違法行為です。

不動産取引に関する犯罪は古くからよくあります。

専門知識を持つ詐欺師から見れば、個人間売買にはスキだらけです。

不動産個人売買を斡旋したり勧めてくる者には注意が必要です。

仲介料とリスク

不動産取引で発生する裁判は多い。

高額の不動産取引では仲介料も高額です。

仲介手数料がかからない個人売買は確かに魅力的です。

手数料収入は不労所得のように思われがちです。

ところが、私たち宅建業者はせっかくの手数料が入る物件の仲介を断ることもよくあります。

それは物件の瑕疵が考えられたりするからです。

売買でトラブルがおきれば仲介業者も責任を負うことになります。

高額の仲介料であっても扱いたくない物件があります。

契約書に明確に記載されていないと裁判で負けます。

物件の欠陥を隠していたら損害賠償を負うことになります。

手数料にはリスク分が含まれているのです。

ですから仲介する時は物件をよく調べて、売主買主双方に理解されたか?を何度も確認します。

直接取引の個人売買では仲介手数料が発生しませんのでお得かもしれません。

トラブルがおきなければ何も問題ありません。

いざ問題発生した時には「仲介業者がいた方が良かった…」と言う方がいるのも事実です。

個人売買しようとしたけど仲介してもらって良かった!

そう言われるように丁寧に応対したいと思います。

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